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[BOOKデータベースより]
戦後の日朝関係についてはその社会的重要性にみあう十分な研究が行われてこなかった。北朝鮮の側に立つ特定の見解や興味本位の議論が多く、分析的な考察はとぼしかった。本書はそれらの限界を越えて〈対日工作と物資調達〉という新たな視点から膨大な資料群を駆使し、北朝鮮がわが国とどのように関わろうとしたかを明らかにする。工作とは暗殺、破壊活動、拉致、各界有力者の抱き込み、直轄組織の構築などが主要な任務である。このうち本書では政財界やジャーナズム、反政府活動家、公共団体職員、市民などの抱き込みと、主として直轄組織である朝鮮総聯の活動を分析する。また物資調達については、核・ミサイル開発に限らず北朝鮮の国家戦略の根幹をなす軍事工業全般に関わる問題を考察する。とくに精密機械や高品質素材の調達による先端技術の移転と、多くの民生品が兵器製造に転用されたことを重視して、その技術的転換の実態を解明する。本書の発掘した多くの知見は、「国家の安全保障」を再考するうえで有益な示唆となろう。
第1章 ソ連の対外物資調達と工作、1928‐56年
第2章 北朝鮮、戦前〜1950年代
第3章 在日朝鮮人運動と工作の組織化
第4章 第1次7か年計画と対日物資調達
第5章 1970・80年代の戦略と展開
第6章 金正日時代の物資調達
補論 樹脂と油脂