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[BOOKデータベースより]
本講座は、今日の日本における科学史研究の全体像を見通しよく示し、広く科学史研究への社会からの期待と批判にこたえるとともに、今後の研究の方向をも探ろうとの目的をもって編集されている。本巻は、科学史における西欧中心主義を見直し、他の文明圏の科学的伝統を固有の文化的・社会的条件との連関においてとらえ、その特性を比較しようとする「比較科学史」の立場でまとめられている。すなわち、従来の西欧的科学史では扱われなかった、呪術や神話、アフリカの思考様式、インド、アラビア、中国、韓国、日本の科学を、比較的視野の下にとり扱い、新しい科学史研究の方向を提示するものである。
1章 魔術・神話・科学(呪術・神話・科学―フレーザー、マリノウスキーからレヴィ・ストロースへ;アフリカの伝統的思考と西欧科学)
2章 インド科学とギリシア・アラビア(ヘレニズム科学のインド化;科学史の中のインド―アラビア数学との比較を中心として)
3章 アラビア科学と西欧(極微的時間・空間論史をめぐる西欧とイスラーム;中世アラビア・ラテン世界の商業算術―14‐16世紀イタリアの算法学派の成立)
4章 中国科学と西欧・日本(比較科学史からみた中国の天文暦学;『本草綱目』と江戸初期本草史)
5章 韓国科学と東アジア(東アジアの地転説と宇宙無限論;韓国伝統科学と汎パラダイム―日・韓の伝統科学の比較を中心として)
6章 文化と社会の中の科学(科学理論受容の比較文化的問題―相対性理論と「同型現象」)