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今から百年前(大正時代初期)、大阪の乳児は4人に一人が誕生日の前に死んだ。親は生活水準を上げて、戦中期には10人に一人に減らし、こうして私たちの祖先は生き残り、私たちはいま・ここにいる。…乳児の母親たちの労働と家族形成、またそれを援助する社会事業の歴史を丹念に調べ上げた力作研究。
序章
第1章 女工の結婚と出産
第2章 母胎の状態と先天的な死亡
第3章 食生活の改善:脚気と脳膜炎
第4章 乳児死亡の低減のために
第5章 住宅の改善と社会事業
第6章 公衆衛生体制の成立と占領下の保健事業
終章
近代大阪の歴史は、女性の病気や乳児死亡をいかになくすかの課題に取り組んだ社会事業の歴史でもあった。明治・大正・昭和戦前期に及ぶ,近郊農村から大阪に働きにやってきた貧しい女性たち(紡績女工、女中、日雇い、娼婦など)の労働、食生活、出産、育児、母体保護、住居、健康、無料保育所などの実態を、広範な資料から調べ上げた稀有の労作。著者作製の図表95、地図6、当時の実情がわかる写真30葉を添える。