[BOOKデータベースより]
その生成の土壌を解き明かす。仏教儀礼の場で生成される宗教文芸の思想的背景とその成立空間。
序章
第1部 『神道集』の言説と思想(『神道集』研究史;『神道集』の本文表現と仏教儀礼;『神道集』の神祇観と実者;『神道集』「諏方縁起」の女神と禁忌;『神道集』「白山権現事」の王子たち;『神道集』の「鹿嶋縁起」と注釈)
第2部 真言宗寺院の文芸と儀礼(『神道集』の辰狐王菩薩曼荼羅;『辰菩薩口伝』と中世仮託文献;『辰菩薩口伝上口決』と法華曼荼羅;『龍王講式』の式文世界)
結語
宗教言説と文芸との交渉のありさま、そしてその土壌となった儀礼空間をどう読み解くか。
仏教儀礼の場で生成されるテキスト類の特質と、その思想的・文化的背景を明らかにする。
本書は『神道集』および『辰菩薩口伝』『龍王講式』等の儀礼関連資料を中心に、中世宗教文芸の諸相と、その思想的基盤となる信仰や学問体系、成立環境について考える。
儀礼の言説から生じた文芸と、それを論理的に支えた思想との相関性を探るべく、第T部「『神道集』の言説と思想」では、法会の言説に連なる『神道集』の本文表現を確認しながら、『神道集』を構築する知識の基層を分析。これによって『神道集』の根底に広がる教理・教説や神祇信仰、また注釈世界の様相を詳らかにし、『神道集』が重層的な営みの上に成り立つことを示す。
つづいて第U部「真言宗寺院の儀礼と文芸」では、真言宗寺院に所蔵される儀礼関連の文献資料を検討する。とくに称名寺聖教の〓枳尼天関連資料や、天野山金剛寺蔵の『龍王講式』の分析を通して、儀礼関連資料の背景となる教説や学問活動の様態を探る。