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[BOOKデータベースより]
かぶき者・当代性・断片性・好色性・饗宴性・女方・見立て―七つの視点から迫る歌舞伎の本質。
第1部 歌舞伎とはいかなる演劇か(カイミーラ歌舞伎;かぶき者の登場;当代性―時代の旬を描く演劇;断片性―ストーリーのない演劇;歌舞伎の生まれ故郷―好色と売色;饗宴性―飲み食いの中の演劇;女方―女優のいない演劇;見立て―登場人物にならない演技)
[日販商品データベースより]第2部 初期歌舞伎の諸相(『役者絵づくし』の研究―諸本紹介・成立年代考証・象眼;断片の演劇―歌舞伎と人形浄瑠璃;江戸の演劇空間―もう一つの劇場;色白の女方―今村久米之助の生涯;うわなりの開山 玉川千之丞―「河内通」とその演技;ボストン美術館蔵『江戸芝居町図屏風』―景観年代について)
第3部 資料紹介『役者絵づくし』解説・翻刻・影印
・110余点の絵画資料から、初期歌舞伎の演技・演出の実態に肉迫。高度な学問的成果が、平易な語り口によって解き明かされ、歌舞伎の歌舞伎たる所以が解明される。
・400年の歴史を有する歌舞伎は、常に変転を繰り返してきた。歌舞伎は、時代時代によって、まったく別ジャンルの演劇であるかのような様相を呈する。それでは、いったいなにが、どのような性質が、歌舞伎を「歌舞伎」と呼ばせてきたのだろう。いつの時代の歌舞伎にも通底する、歌舞伎が歌舞伎であるための必要条件、本質とは何だったのか。本書は、歌舞伎にとっての最も重要な、この問題に肉迫していく。
・新発見の資料『役者絵づくし』(国文学研究資料館本)をもとに展開される、堅牢な考察。同書に現存最古の象眼跡を発見し、最先端の流行風俗を舞台化することこそが歌舞伎の本質であることを、あざやかに解明する。
・歌舞伎はなぜストーリーが分かりにくいのか。「断片性」という歌舞伎の性格を成立期から摘出し、現代の「みどり」という部分上演方式の芽生えが、大名屋敷への出張興行にあったことを指摘する。
・観客が舞台に参加する「饗宴性」を歌舞伎の本質の一つとし、相撲観戦や中国演劇の資料などにも目を放ち、演劇の本質に迫る。
・「売色」と「好色」を歌舞伎の生れ故郷と見なし、歌舞伎が売色のためのショーウインドウから脱化していく歴史を、二人の女方役者の足跡を追うことによって解き明かしていく。
・歌舞伎女方の先駆的名優 玉川千之丞の演技を、その姿態・表情にいたるまで具体的に解明し、「すさまじい」嫉妬の表現が生み出される過程に迫る。これによって、内容よりも表現を重視するという歌舞伎の特質を摘出する。
・「見立て」という表現技法が歌舞伎の演技の本質としてあると揚言。これを忘れてしまった現代の歌舞伎に警鐘を鳴らす。