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[BOOKデータベースより]
黒猫が鴨志田陽の前を横切った。「今ので753回目…黒猫が横切ると不吉な事が起こる。そんな迷信信じたくないが、こうも多いと気にならないほうがおかしい…」。リストラから心機一転、浄水器の訪問セールスを始めた陽だったが、全く売れずに、肩を落として歩いていると、目の前をまた違う黒猫が横切る。仕事もままならず、半同棲中の彼女から妊娠を告げられるも結婚に踏み切れない陽。そんな中、父の七回忌がやってきた。陽の父はかつて「黒猫占い師」として話題になり、家族よりも猫とばかり過ごしていた。陽は、父も黒猫も大嫌いだった。七回忌を済ませ、実家の父の書斎でうたたねしていると二匹の黒い子猫が現われた。その二匹は、かつて父が飼っていた黒猫のルーとシーに似ていた…。その二匹が、陽の人生に転機を与えることを、その時の陽はまだ知る由もなかった…。