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[BOOKデータベースより]
御茶壺道中にあこがれ、葉茶屋の奉公人となった仁吉。お茶を愛する商人の、一途な想いは、だれに届くのか。お茶が映し出す江戸と、幕末の変遷を描いた長篇小説。
[日販商品データベースより]移りゆく時代にあっても、変わらないものとは──。
将軍に献上される御茶を、毎年初夏に宇治から江戸へ運ぶ行列──御茶壷道中。その行列を見るのを楽しみにしている宇治出身の仁吉は、日本橋の葉茶屋・森山園の奉公人だ。
安政六年の今年も、間もなくその行列がやってこようとしていた。仁吉は十五歳になり大旦那太兵衛のもと元服を無事を終え「仁太郎」の名を与えられたが、孫娘で内儀のお徳は、なにかと彼に厳しくあたるのだった。そんな矢先、彼は、太兵衛に連れられて、旗本の阿部正外の屋敷を訪ねることになる──。阿部との出逢いが、日本一の葉茶屋を目指す仁太郎の人生を、大きく変えようとしていた。