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[BOOKデータベースより]
酒肴として表現された、四季折々の美味をこよなく愛した父、「何でもあるわよ」と、当意即妙に酒の肴を用意する母、そして、祖父の膝の上で覚えた熟れ味の遠い記憶。「いのちのスープ」「仕込みもの」など、合理的で研ぎ澄まされた料理の紹介で知られる辰巳芳子の傍には、このようにいつも酒の肴があった。筍、卯の花、塩らっきょう。干物に田楽、菊、零余子―易しく作れる酒の肴を紹介しながら春秋の口福を謳った、新しい味の歳時記がここに。
1 読む肴篇(四月―筍三昧;五月―花と風の月;六月―雨を聴く日々;七月―夏を迎え撃つ;八月―八月十五日のトマトジュース;九月―目にはさやかに見えねども;十月―菊の皿;十一月―風仕事;十二月―歳暮の滋味;一月―いやしけ吉事;二月―寒の美味;三月―春をいただく)
[日販商品データベースより]2 作る肴篇(最初の一と品;いつもの肴;干物;揚げ物;ちょっと一膳;おつゆ;漬物)
料理研究家・辰巳芳子、九十五歳。今も包丁を手に取りつつ、食といのちのかかわりに思索を廻らす日々――「酒の肴づくりは、文化を生きる人間の、もっとも洗煉された表現行為なのではないか」という辰巳の気づきから始まった『図書』での連載全十二回に、書きおろしエッセイ七本を加え、四季ある国の口福を綴ったゆかしい随筆集。