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[BOOKデータベースより]
遺族の手から奪いとられ「政治の道具」となり果てた『きけわだつみのこえ』。戦没学徒の静かな叫びを次代にどう伝えるか。1995年12月に刊行された岩波文庫新版『きけわだつみのこえ』は、「決定版」とうたいながらも、それとは程遠い杜撰な内容であった。歴史的遺産として継承されなければならない戦没者の遺稿集を、誰が、何故、そのようなものに変えてしまったのか。『きけわだつみのこえ』と「わだつみ会」の戦後を追っていくと、戦没学徒の遺族や友人たちの素朴な哀悼の心を踏みにじる動きが、さまざまな形であったことが分かる。その「総決算」が岩波文庫の新版であったと言ってよい。
序章 戦没学徒と私―40年前、感動した私は戦場に散った学徒をモチーフにした創作劇を書いた
第1章 『きけわだつみのこえ』の誕生―学業半ばで死んだ息子、兄弟、友人の霊を慰めたいという初心に早くも政治の影が
第2章 バイブルへの道―安保闘争のなかで『きけわだつみのこえ』は反戦を叫ぶ若者たちの「聖典」になった
第3章 倒された「わだつみ像」―既成秩序の破壊を叫ぶ学生たちは、学園に立つ知性と平和の象徴をひきずりおろした
第4章 「反天皇制」の中で―わだつみ会は昭和天皇の戦争責任を問う声を大きくあげることで会員を増やしていく
第5章 戦没学徒の「戦争責任」―一部会員たちは死んだ学徒にも戦争責任があると言い張り遺族たちを怒り悲しませた
第6章 追放された遺族―「わだつみ」を支えつづけた人々を「インテリ」たちが陰険なやりくちで追い出した
第7章 わだつみ学徒、五十年後の「死」―岩波文庫に収録された「新版」は戦没学徒の遺志を踏みにじる欠陥だらけのものだった
終章 次代にとっての「わだつみ」―私が初めて読んでから40年の歳月が流れた。現代の若い世代は「わだつみ」をどう見る