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[日販商品データベースより]
主人公の春子は卒寿を過ぎた老女である。彼女の夫勇二は海軍航空隊の士官として太平洋戦争で最前線に立ってきた歴戦の勇士だった。戦争の長期化に伴い、零戦搭乗員の訓練を担う教官として内地勤務を命じられた。
春子の守る留守宅には二人の一粒種の南海子がいる。昭和二十年の六月、二人のもとに勇二が突然帰宅する。それもいつもの背広ではなく、第一種軍装の凛々しい姿だった。
それから三夜、二歳の南海子と戯れながら、夫婦は尽きせぬ会話を繰り広げる。続く空襲への不安を訴える妻に、軍人の夫は一部軍機に関わることまで
交えながら、いかに若者たちが懸命に戦っているかを伝えるのだった。勇二は特別攻撃に飛び立つ若者たちを守る直掩機に搭乗していた。
その別れの朝以来、夫からの連絡は一切なく、ついに終戦の日を迎える。それでも夫からも海軍からも何の音沙汰もなかった。戦後の混乱を必死に生き抜く母娘のもとに、夫の戦死公報が届けられたのは終戦から一ヵ月以上が過ぎたある日のことだった。春子は一時は茫然としたが、南海子のことを思い、強く生きなければならない覚悟をする。
終戦から一年以上が過ぎた頃、春子のもとにある婦人が訪ねて来た。彼女の息子は特攻に散った一人であったが、勇二が最後まで教育に携わった「教え子」であり、彼の遺書から、夫勇二の最後の日々を垣間見ることができたのだった。
婦人は靖国神社に行けば息子に会えると思い、上京を決心した人だった。彼女の話を聞いた春子は、自身も靖国参拝を決意し、以後は年に何回か靖国神社を訪れるようになった。そんなある日、神社の奥まったところにある神池庭園で、亡き夫と幻想的な対話ができることになった。
戦後七十年を迎えたある日、曾孫の美咲が家にやって来た。春子は美咲に自分の半生と戦争について、戦後自ら学んだ事実を交えて諄々と語り聞かせるのだった。もちろん平和への願いを込めて。