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[BOOKデータベースより]
「俺ら素町人の底力を、とくと見やがれ」江戸で人気を誇る、売れっ子で女たらしの陸尺・桐生。四角四面で融通が利かず、領主に忠実な近習・小弥太。身分も性分も相容れない、二人の因縁の出会いとその行方は―。第36回小説すばる新人賞受賞作。
[日販商品データベースより]第36回小説すばる新人賞受賞作。
寛保二年。大名や旗本の駕籠を担ぐことを生業とする陸尺の桐生は売れっ子として江戸で人気を誇っていた。ある日、芝居小屋の《市村座》で木戸番と陸尺の大乱闘が勃発。相方の龍太が巻き込まれたと知った桐生は仲間の翔次と共に駆けつける。だが龍太は捕えられ、騒ぎを収めようとしたはずの桐生も結託した仲間に裏切り者扱いされ仕事を干されてしまう。暇を持て余していた八月のある日、大雨により江戸で大洪水が発生。桐生は辛うじて生き延びるも商売道具の右腕に大怪我を負い、かつて恋仲であった娘・おみねも目の前で濁流に呑まれてしまう。何もかも失った桐生は《市村座》の騒動を機に知り合った玄蕃頭・有馬頼徸に救われ屋敷で世話になることになり、懇ろだった深川芸者の粧香とも再会。一方、頼徸の近習である坂西小弥太は、主君が桐生を気に入り、また幼い頃から恋心を抱いていた頼徸の姉・梅渓院までもが執心であることに苛立ちを覚えていた。そして、使い物にならず腐っていた桐生を痛罵し、桐生は有馬家を去るのだが……。
【著者略歴】
神尾水無子 (かみお・みなこ)
1969年、東京都生まれ。神奈川県在住。「我拶もん」で第36回小説すばる新人賞を受賞。