福田善之の世界

社会評論社
井上理惠　安宅りさ子　今井克佳　佐々木治己　越光照文　

• 価格: 3,850円（本体3,500円＋税）
• 発行年月: 2024年01月
• 判型: Ｂ５
• ISBN: 9784784511686

内容情報

[BOOKデータベースより]

第１部　２０世紀の福田善之（はじまり；劇作デビュー「富士山麓」；「長い墓標の列」；「記録Ｎｏ．１」と「遠くまで行くんだ」；劇世界への飛翔「真田風雲録」「オッペケペ」「魔女伝説」―フィクションが「定説」を崩せるか！；新たな世界へ“ミュージカル”；「漱石の戀」）
第２部　２０世紀から２１世紀へ（歴史証言による問いかけ―「ワーグナー家の女」「新・ワーグナー家の女」を読む；『草莽無頼なり』―歴史小説を動かすものは何か；あの空は青いか（福田善之の２１世紀）；「極私的福田善之論　若き俳優たちに聞く」）
資料　福田善之作品年譜

[日販商品データベースより]

劇作をし、演出をし、俳優教育もし、小説も書く、
劇作家・福田善之を丸ごと捉えられる最初の本にしよう〓〓。

　福田善之は東京下町の〈株取引〉の場、日本橋という日本経済の中心地で生まれ育った（1931年）。国の金が動く場所で一儲けしようと集まる人々や大衆文化・芸能に触れて子供時代を過ごした。つまり圧倒的に量の多い階層の人々〈PEOPLE〉─〈大衆〉が周りに居たのだ。そして多感な時代の始まりに、麻布中学という明治半ばに創設された「自由闊達・自主自立の校風」を持つ私立中学に入学する。ここで福田は大衆文化・芸能とはいささか異なる〈知性〉豊富な文化に触れる。読書と創作─夏目漱石の小説と〈芝居・演劇〉である。東大に入り哲学・思想を裡に取り込む。こうした生きる場の成長の歴史が、福田の劇世界を形成していくことになった。
　多くの戯曲の中から数作を選択したが、その中心となる鍵は、福田が演劇世界で目指した構成の〈新しさ〉登場の必然であった。同時にそこに内包された〈自由と変革の思想〉にも目を向けた。この理解の下に第一部の福田善之論を進め、戯曲を分析した。（あとがき抜粋）