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[BOOKデータベースより]
本書は、前著『時効と占有』以後に著者が発表した取得時効に関する七編の論文・判例研究に二編の書下し論文を加え、若干の加筆訂正を施してまとめたものである。取得時効法というものは、著者にとっては、占有論と同様に「迷宮」のようなものである。出口が見えかけてきたかと思ったのは錯覚で、いつまで経っても出口が見えて来ず、同じ所をぐるぐると回り続けているように思えてならない。そして、このような思いは、不動産訴訟に携わったことのある実務家ならば、誰でも一度は懐いたことがあるのではないだろうか。どこかおかしい。しかし、どこが、そして何故おかしいのか、いま一つよく分からない。それが取得時効法なのである。
1 取得時効制度の趣旨・存在理由について
2 所有権の長期取得時効の要件について―判例を中心に
3 さまよえる「所有ノ意思」―自主占有における権原と善意について
4 相続と取得時効―他主占有の相続人が固有の自主占有を主張して取得時効を援用することができるのはどのような場合か
5 土地占有者の態度が他主占有事情として十分とはいえないとされた事例(判例研究)―最判平成7年12月15日
6 他主占有者の相続人について独自の占有に基づく取得時効の成立が認められた事例等(判例研究)―最判平成8年11月12日
7 短期取得時効の要件としての「無過失」とその証明―判例を中心として
8 貸借権の取得時効
9 取得時効の中断事由