夢のみちゆき
出直し神社たね銭貸し
出直し神社の手伝い娘・おけいは、同心の依田丑之助に請われ、練馬の子育て寺へ向かう。
労咳が広がった寺には三十人近い女児が取り残されていた。
おけいは子らの世話にあたり、かつて縁のあったお小夜・おひな姉妹と再会する。
さらに、病に臥した尼僧の看病も託され──。
一方、お蔵茶屋〈くら姫〉の主・お妙は、評判を呼ぶ竹取茶屋〈かぐや〉の噂に心を乱される。
数奇な運命を背負う人びとに、縁起のよいたね銭とやり直す力を与える出直し神社・うしろ戸の婆の深いまなざし。
人情と謎解きが溶け合う、心に沁みる傑作時代小説。