「わたし」と出会うわたし
―本来の「自分」とは?―
世界の物語や著作の中には、転換や転回、ねじれや転落を通して、「自分と出会う」ということを表現したものが多く存在する。
自分の影に自分を見たことで眩暈や不安の感覚的症状に襲われる人物の姿を描いた梶井基次郎。
夜空に浮かぶ星を通じて「自分を見る、出会う」ことを見た哲学者・上田閑照。
穴に転落したことをきっかけに不思議な世界へと導かれる『ふしぎの国のアリス』のアリス。
「わたし」と出会うというのはどういうことなのか。
自身も小説を出版し、その作品内で「わたし」と出会う人物の様相を描いた著者が「自分、わたし」という存在を深く問い詰めた意欲的な一書。