鴻池新田会所日記を紐解く
著者:鴻池新田会所日記を読む会
出版社:和泉書院
価格:3,500円
発売日:2025年10月
判型:A5/ページ数:200
ISBN:9784757611306
江戸時代、大坂近郊農村の様相を大きく変えたのは、大和川の付替えとそれに伴う新田開発であった。なかでも、宝永2年(1705)に開発が始まった河内国若江郡の鴻池新田は、豪商鴻池善右衛門家を請負人としたことや河内最大の新田であったこと、また近代まで同家が地主として経営したこともあって、町人請負新田の典型的な事例として教科書にも取り上げられるなど、多くの人に知られている。
これまで鴻池新田の研究は、鴻池屋伊助こと草間直方が記した「開発事略」に拠るところが大きかったが、本書で取り上げた「新田会所日記」は、会所にあって開発・経営の実務を差配した、複数の支配人によって、長年にわたり書き継がれたもので、その内容は鴻池新田の開発記録というにとどまらず、新田・会所を取り巻く地域社会や領主との関係をはじめ、実に多彩である。本書では各執筆者が多様な視点から分析を試みており、地域史研究の新たな1ページを切り開くものである。