当世日本語万華鏡
今はおとなである人も、昔はみんな子どもだった。その子どものころ祭りや縁日などで、たいてい万華鏡をのぞきみしたことがあるだろう。それは、ほんの少し、角度や向きを変えるだけで、筒の中の景観はがらりと変わった。私たちが毎日使っている日本語も、それに似ている。八年前、『季語の博物誌』で、読者を日本語の〈雅〉の世界に導いて好評を博した著者が、本書では、主に日本語の〈俗〉の世界に読者を案内する。前著と同じく、半ページの簡潔な記述によって、日本語の歴史や発音や文法などを学ぶことができる、楽しい一冊である。