内在の臨界

生の現象学と現代フランス哲学

仕入元在庫あり

著者:米虫正巳 
出版社:知泉書館 
価格:6,000円

発売日:2025年09月
判型:菊判/ページ数:422
ISBN:9784862854469

内容情報(日販商品データベースより)

ミシェル・アンリ(1922〓2002)によれば,従来の現象学は,可視的な地平に現象を送り返すという〈外〉や隔たりを介した「超越」の構造に基づいてきた。フッサールの「志向性」やハイデガーの「時間性」もこの超越の枠組みの中にあり,真に根源的な現象性を捉えていない。これに対し,アンリは「生の自己顕示」を純粋な現象性の場として提示し,世界の現出とは異なるもう一つの現象性の様態を提示する。そこでは,自己は隔たりなく自己自身を感受する「感情(sentiment)」として現れる。
本書は,「内在(immanence)」という概念の可能性を,20世紀以降の現代フランス哲学,とりわけアンリの哲学を手がかりに探究する。アンリはフッサールやハイデガーの「歴史的現象学」に批判的な立場をとり,「生の現象学」を提唱した。この現象学は,「超越」に依拠する従来の現象学に対して,「内在」としての生の自己顕示を基礎づけるものである。
しかし,アンリの「内在」概念は全面的に受け入れられるべきなのか。本書では,ドゥルーズ,レヴィナス,マリオン,バディウ,ラリュエル,クレティアン,マルディネ,デュフレンヌ,デリダといった現代フランスの哲学者9名との対話を通じて,アンリの「生の現象学」に対し多角的に批判・検討を行い,内在概念の限界や問題点を明らかにする。アンリの哲学の持つ独自性や意義だけでなく,その理論が抱える問題点・限界を明らかにし,「内在」のさらなる可能性とその刷新の方向性を探る。

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