なぜ東北は鬼門とされたのか―古代中国から平安京へ、文化の伝承とメタモルフォーゼ―
京都の街中でよくみられる風景。宅地の東北を少しだけ四角く隅切し、そこを囲い、小石を敷きつめている。これは「鬼門除け」と呼ばれる。日本の各地には鬼門に関する伝承が数多く存在する。なぜ東北方位が鬼門とされたのか?その観念は古代中国、後漢に起源をもつ。
本書は日本初の体系的な鬼門の研究書。中国で誕生し、日本に伝播した鬼門を、伝承と変容=メタモルフォーゼの視点から解明、さらに時間軸と空間軸の両面から考察する。多くの文献資料や豊富な図版でビジュアルに解説。風水や天文・暦法、陰陽道、民俗学に興味がある方、鬼門の謎に触れたい方へ〓(2024年度 橋本循記念会出版助成図書)
本書の目次
プロローグ メタモルフォーゼの扉を開く
第1章 殷城(址)にみる東北斜め隅切の謎
第2章 鬼門誕生の謎〓丑寅間は時空の境界
第3章 疫鬼と駆逐する呪力
第4章 式盤の宇宙と鬼門
第5章 中国における鬼門の変遷
第6章 平安京と鬼門
第7章 丑寅間の刻が一日の境界だった鎌倉・室町時代
第8章 江戸城の鬼門を鎮護
第9章 江戸時代、庶民に広まった鬼門
エピローグ 失われた土地の記憶を訪ねて