七福神、大集合! 江戸の信仰と文化
七福神をめぐる文化は現在の私たちにも届いている。七福神の魅力の一つは、各地に七福神があって、正月に巡拝する、テーマパーク(スタンプラリー)的な体験型の娯楽だという点によって説明できるであろう。隅田川七福神、谷中七福神といった具合に、場所と信仰は密接に結びついている。そのことは、伊勢参り、善行寺参りなどに敷衍しても証明できる。要するに、足を運んでそこに行くことで、根源的な何かに触れることができるのである。
そうして、「あそこ」に行けばあの神様がいらっしゃり、ご利益を授けて下さるという人々の思いによって、「あそこ」はどんどん神格化されていく。そうすると、「あそこ」には神秘と親愛がますますまとわりつくことになる。
これを第一の魅力とすれば、第二には、宝船の絵を枕の下に敷いて、めでたい初夢を見ようとするという年中行事となっていたことが挙げられる。じつに手軽に、現世利益への欲望が具現化されるのである。ご利益を求めることが好きな日本人の国民性に適った、大衆的で世俗化された神々なのだ。宝船以外にも、数多くの絵画が流布した。第三には、キャラクターが立っていて、福をもたらすという共通性と、女神や武闘派もいるという多様性によって、親しまれたことを指摘したい。そこには、滑稽性も存在していたからこそ、より一層の親しみが湧くのである。
すなわち、七福神の魅力を三つのキーワードで総括すれば、「場所と信仰の結びつき」、「絵画的な世界の浸透」、「キャラクター」ということにまとめられるのである。