絵本 火を産んだ母たち
『歌でやらかせ これくらいの仕事 生活苦にして 泣こよりも』(ゴットン節の一部)
およそ百年前。石炭増産の時代。筑豊の地底深く。力の限りに働き抜いてきた女坑夫たちの埋もれた労働と暮らしを、井手川泰子さんが記録。過酷な状況下で働き抜いた老女たちの声を二十年以上にわたり丹念に追った聞き書き―『新 火を産んだ母たち』(海鳥社・二〇二一年刊)を再構成し、待望の絵本化。若い世代へと繋いでいく。
当時の女坑夫たちが運命を受け入れた「強さ」と「軽さ」と「可能性」とは。
令和の時代を生き抜く私たちの心に、魂に今、切々と語りかけてくる。
『今のあんたたちにも、おんなじもんが残っとらんね?』(あとがきより)
『しゃんとせな。なんぼきついでも 愚痴るよか働かな どげもならん。』(本文より)
本書は、ヤマの女たちの生きた証である。