「幻の源氏物語絵巻」をもとめて
十七世紀、絵巻の時代と古典復興
「源氏絵」の歴史のなかでも際立つ個性を有している「幻の源氏物語絵巻」。黄金をふんだんに使用した豪華な造りに加え、他の源氏絵のパターンとは一風変わった場面選択が見られる点でも注目される。現在までに存在が確認されているのは20巻弱、完本で揃っていたとすれば、全体で200巻を超すものであった可能性がある。誰がどのような意図のもとで、このような絵巻を制作しようとしたのか。詞書染筆者の問題も含めて、江戸時代初期の文化史・政治史・経済史的な状況を見渡しての検証が必須となろう。日本文化史のミッシングリンクというべきこの豪華絵巻の謎に、豊富なカラー図版と国文学研究者・日本美術研究者15名の論文でもって迫る。