シュレーディンガーの白いねこ
ねこは猫らしく見えて恐らくは猫ではないのだ
でもそのねこはただの譬え話でもない
ねこは少し前に金属の箱から取り出されたばかりで
箱のなかでは生と死のいずれをも重ね合わせた存在であった
(「シュレーディンガーの白いねこ」)
「わたしの詩の材料はわたしの身の回りや、たまたま興味を持った物事から湧いてくるものを拾う。しかし書いたものを見直すとずいぶん?っぱちを並べたものだと自分でも可笑しくなる。だがその?っぱちをさらに子細にみると、わたしだけの真実がこびりついている」(あとがき)。虚と実が不思議な均衡をたもって詩の世界で吊り合う。『糸切り歯の名前』から4年ぶりの新詩集。装画=筆者