落下の夢
――わすれない
たったひと言云って欲しい
「朝焼けがきれいだよ」
と
(「風船」)
小林坩堝の詩は、時代から追われるもの、抹殺されるもの、瘡蓋として忌避されるものに執着する。それが言語器官としての詩の言葉の揺るがない使命だとでもいうかのように。新しい詩集では、落下――すなわち羽と言語(重力)とのせめぎ合いに、あの《歴史の天使》を召喚する。鮮烈な第一詩集『でらしね』の紅い言語が「魔子」を呼び出したように。――時里二郎
犯罪でない生はない。愚行でない美はない。地上的なものどもは、その足にまとわりつく錘ゆえに、重力を信じてやまず、墜落のために飛ぶ。「もっと醜く」「いちばん美しく」−−いま、この詩集を倫理と呼ぶことに躊躇いはない。――五所純子
第1詩集『でらしね』から作品集『小松川叙景』を経て、12年間書き継がれた詩篇からなる最新詩集。