了解 古今和歌集
この歌集の詞と心を解き明かす
古今和歌集は日本古代の文化史、文学史の中から、どのようにして立ち上がってきた歌集であるのか、その本質追求を生涯の研究テーマとして『古今風の起原と本質』『萬葉集作者未詳歌巻の読解』という二書を刊行してきた著者にとって、本書で三部作の完成となった。萬葉から古今へという古くからのこの研究分野において、本書では、歌一首々々の了解に当たっては、日本書紀以下の六国史、養老令、貞観儀式、延喜式等の諸条文を資料に用いて多くの新しい知見を得ることができ、これによって古今和歌集の「歌の心」というものが明らかになってきたと思われる。これまでのこの歌集の注釈書といえば、もっぱら「歌の詞」の認識に力が注がれてきたようですが、古今和歌集の和歌の生命は、その「歌の心」です。