近世中後期の古今伝授
中院通村没年である承応2年(1653)以降の古今伝授の実態を、堂上地下にこだわらず全体像を時系列で明らかにする。単に紀事を羅列するのではなく、中院家や久世家などの広い範囲の堂上の文書も採り入れ、詳しい新出文書を大胆に組み込み、確実な堂上史料の裏付けをもった俯瞰的古今伝授史の全貌を提示する。今まで誰も知らなかった古今伝授のディテールを公開し、また、伝授を受けた日本人の和歌と生活を知る上での貴重な資料として、河内の妻屋秀員、大坂佃の平岡貞郡の家集の内容を詳しく紹介、泉南の石橋直考家集『心の箒』翻字を収載した。人名索引・『心の箒』初句索引を付す。