技術人類学からの警告
技術が人間以上になる理由
いま、人間がおかれている政治的・経済的情況、あるいは地球・環境的な問題に対して、
われわれは何ひとつ有効な手立てを打つことができていない。そもそも何が原因なのか。
その原因の究明からもっとも有効な手立てを探り、筋道を立てて論じて行こうとしたのが本書である。
最終的な答えを導きだすために、まず、動物である「人間」はどのような存在であり、
これまでどのような歴史を歩んできたのかを、新たな視点・捉え方から考究し、把握することから始めた。
本書の基礎となるのは「世界はものとものとの関係=結ばれ=協働でできている」という考えである。
この考えを応用して、「技術」とは何かという定義を深め、
あらゆる歴史を「もの」と「ことがら」の関係が織りなす壮大なプロセスとして捉えてゆく。
言語発生のプロセス、供犠および儀礼発生・発明のプロセス、また、国家・王権誕生の、
そして近代科学誕生のプロセスを詳細に追い、更には、現代の科学技術複合システムが、
なぜ様々な問題を生じさせるまでに至ったかまでを突き詰め、
混乱を極める人類の未来を如何に生き延びてゆくのかを問い直そうとした。