王国を見にいくと言い残して
著者:蝦名泰洋 野樹かずみ
出版社:書肆侃侃房 地方・小出版流通センター
価格:2,000円
発売日:2025年02月
判型:四六判/ページ数:192
ISBN:9784863856677
失ってはならない涙と
消えない光がある
傷つきやすいこの世界に詩人がいてくれてうれしい
わたしは蝦名さんの詩や短歌を読んで生きてこられた
―野樹かずみ
ひっそりと生き、亡くなった蝦名泰洋の幻の詩集
『カール ハインツ ベルナルト』ほか、詩人の全貌
王国を見にいくと言い残して
もどらない彼のことを
パンを食べているとき忘れていた
食べるときは忘れているのだ
たえまなく浸食される時間の痛みの中で
わたしも一筋の傷口である
黒パンには塩分が含まれており
沁みる
王国はどうだったの?
と、もどって来たら訊いてみよう
(カムパネルラ忌より)