内村鑑三 再臨の風景
臨りつつあるイエスと生命の水の河
本書は、日本近代の無教会信仰者、伝道者である内村鑑三の福音の中心、聖書の奥義となる「再臨信仰」に関する研究である。それはまた、この戦争の新世紀のなかで、ときに旧約の風前の籾殻(もみがら)の如くに生きる、人の救済への途をたどる文学・批評的な考察でもある。
旧約の森と再臨宇宙をプロローグに、ドストエフスキー文学のニヒリストの系譜、新約の罪と愛をめぐるユダとイエスの物語、神の国と地上の国、インマヌエルと再臨、非戦論ととともにある内村鑑三の再臨信仰への途、大正期の再臨運動、再臨のキリストと臨(きた)りつつあるイエスを経て、エピローグに生命(いのち)の水の河の辺(ほとり)へと至りつく。
その永遠に涸れることのない一条(ひとすじ)の河は、創世記の原初の楽園を潤したその源(みなもと)から、旧約の幾重もの歴史の地層を通り、イエスとともにはじまる新約の福音書、パウロなどの信仰書簡からヨハネ黙示録の新しい天地、都の大路の中央まで途絶えることなく流れている。そこには臨りつつあるイエスとともに、万人救済=再臨の風景が広がり、生命の水音が響く希望の物語がある。