何か、十一篇

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著者:河合拓始 
出版社:書肆侃侃房 地方・小出版流通センター
価格:2,000円

発売日:2024年12月
判型:四六判/ページ数:216
ISBN:9784863856554

内容情報(日販商品データベースより)

音楽家・河合拓始の第一詩集

これは「音」である。

実際に声として音になったさまを

思い描く。

音楽と通底しているのかもしれない。





2012年から書き継いでいる「何か、十一篇」の第一〜第七集に加え、長編詩「赤い川の流れるほとりで 自転車行商のおじいさんから 真っ青な羊羹をもらう話」ほかを収める。





ゆっくりとしなうように

ひとりが腕を上げると

ほかの人もだいたいがそれに続く

風のざわめきが急に静かになる

こころの涙が姿を変えた岩

そこにひとりひとり座って

用意した泉水を呑み干したら

岩を荷物に入れて持ち帰るのだ

住居に帰ったら海か川に浸して汚れを

よく落とす あるいはそのまま放置する



レム睡眠の波間にわたしたちが漂うとき

ひっそりと岩は光りはじめて

誰も見ていないときに

遠くから花々とつながり合うだろう

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