春の台
歌集
著者:上田貴代
出版社:書肆侃侃房 地方・小出版流通センター
価格:2,000円
発売日:2024年11月
判型:B6変/ページ数:192
ISBN:9784863856523
《流れゆく老いの暮しのアクセント「春の台(うてな)」は真っ赤な椿》
心臓を患う夫との尺八と筝の二重奏
子供や孫たちとの歳月に
登山や自然観察などから生まれる歌が寄り添う
【収録歌より】
泡立ち草の黄の帯すすきの白き帯宝満の土手に秋はとどまる
チェーンソー聞き続けたる晩年の父親の耳遠くなりたり
子の声を聞きたき日には亡き母もかくありしかと思ふ 立秋
ふるさとで迎へし朝のまどろみに聞きなれし母の雨戸くる音
何もいらぬ十分食べたと食を辞し九十二歳の母は逝きたり