補蛇落ばしり物語

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著者:中嶋隆(国文学) 
出版社:ぷねうま舎 
価格:1,600円

発売日:2020年01月
判型:B6/ページ数:234
ISBN:9784910154015

内容情報(日販商品データベースより)

時は江戸宝永年間、富士山大噴火と大地震の巷から船出した三度の渡海の物語──西方浄土に向けて、僧を小舟に閉じ込め、熊野灘の荒海に流す、世に名高い補陀落渡海?末。

 果たしてそれは、大破局の地獄絵から衆生を救う捨て身の行たりえたのか。親殺しの汚名と、裏切りと、人肉食の破戒……俗世の底の底をうごめくものたちが、渡海のはての仮死の境で目にしたものとは。

 生きとし生けるもの、ことごとくに仏性が具わる。世間知を破り、人間の条件すら踏み抜いたとき、そこに光と呼び声が……。

 小説・破局をくぐる信と愛と光と。



「あとがき」より

 私は、 ……古代・中世の補陀落渡りを、元禄末・宝永期のこととして、この物語を書いた。市井の人々の生命と信仰とが、そこ に凝縮していると考えたからである。この時期には、小田原城が倒壊した元禄大地震、四国・近畿に大被害を及ぼした宝永大地震、さらに富士山噴火と、天変地異が続いた。未曾有の大災害のさなか、信仰心を持ち続け、煩悶しながら生きた人々が、この物語の主人公である。

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