ラヴェンダーの翳り
歌集
著者:日置俊次
出版社:書肆侃侃房 地方・小出版流通センター
価格:2,100円
発売日:2019年08月
判型:B6変/ページ数:176
ISBN:9784863853720
バラ窓の紫が胸にしみてしみて苦しかりけりノートル・ダムよ
パリの暗闇のなか、
火を噴くような記憶の息遣いが聴こえる。
一瞬きらめき散乱する光のような歌声と
静かに揺れ、さざめく芳醇な香りが、
えぐるように心に沁みる。
【自選5首】
はみだしてくる蒼き香よ 唸る蜂 蝶の舞ふ声 われ呼ぶは誰そ
サファイアのごとく燃えゐる眼をあげて殺めむか否、殺めてはならず
あをの時代それはピカソの悲しみのきはみをきざむ闇の色なり
かわきたる風かわきたる香草の影とひかりが沁みゆくわれに
天蓋よなぜ崩れしか尖塔よなぜ燃えたるかマリアよマリア