遠くの敵や硝子を
著者:服部真里子
出版社:書肆侃侃房 地方・小出版流通センター
価格:2,100円
発売日:2018年10月
判型:四六判/ページ数:172
ISBN:9784863853379
夜をください そうでなければ永遠に冷たい洗濯物をください
短歌はわたしではなく世界を震わせるのか。
この歌集を読んで、初めてそう思った。
世界が震え、震える世界の中にいるわたしが共鳴する。
そうか、そうだったんだ。
――金原瑞人
【五首選】
わたくしが復讐と呼ぶきらめきが通り雨くぐり抜けて翡翠(かわせみ)
灯のもとにひらく昼顔おなじ歌を恍惚としてまた繰りかえす
水仙と盗聴、わたしが傾くとわたしを巡るわずかなる水
つばさの端のかすめるような口づけが冬の私を名づけて去った
神を信じずましてあなたを信じずにいくらでも雪を殺せる右手