境界の向こう
聞こえますか ここは地球
システムワードは故障中
留まりゆく不安は
私たちに
先へ進めと命令する
(「パスワードとして、未来」)
「「太陽系のなかのひとりの子ども」が透明なことばを生みだした。脳のどこかが共鳴する。数学や物理学の用語が、実はとても詩的であることを知っている人たちは確実にいる。できるかぎりシンプルな数式で世界を説明したいという欲望と、ざわめきをざわめきのまま映しだしたいという欲望。硬質なのにやわらかい、鉱石の断片を思わせる肌触り。感度が高すぎるということは、生きやすさにはつながらない。抱きしめてあげたいような、ほうっておいてあげたいような、そんな気持ちになる」(宮地尚子)。文理を架橋する、清新な第2詩集。