夢野久作の場所
著者:山本巌
出版社:書肆侃侃房 地方・小出版流通センター
価格:2,000円
発売日:2014年09月
判型:B6/ページ数:303
ISBN:9784863851566
近代史の闇を覗くと現代の狂気がみえる。
人間が抱える不可解さ、不安、そして不条理。
時代を超えた疑問は解けるのか。
久作の予言なのか…
乱歩の「夢野君の書かれた狂気の世界は、狂人自身が書いた狂気の世界で、文学者が書いた狂気の世界ではないといふやうなところがある」(『夢野久作の世界』)は興味深い。探偵小説論的に言えば、久作の作品には、すべてのナゾ解きが終わったあと、なお、人間が抱え込んだ不可解さや不安が残る。久作が批判してやまなかった近代という時代の論理が、さらに広く深く浸透したのが現代であるとすれば、夢野久作をどう位置付けるかは、日本文学史のなかでなお、本質的な課題として残されているといえるのではないか。 (著者)