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[BOOKデータベースより]
法を犯した者には、適切な医療を受ける権利もないのだろうか?長らく矯正施設で治療に携わってきた精神科医が描く、塀の向こう側の、もうひとつの医療現場。
刑務所医者事始め
[日販商品データベースより]虐待が奪いゆくもの
矯正施設で見た家族のかたち
保護室で聞いた除夜の鐘
精神鑑定は精神医学の華なのか
不注意と落ち着きのなさと寛容さと
発達障害は何をもたらしたか
高齢者の病いと罪と
フィンランドの刑務所
往診が教えてくれること
矯正施設における精神療法
〈私には、非行少年少女や受刑者の多くが人生の偶然や不運に翻弄されているように見えた。そして、人生のほんのわずかな何かが変わっていれば、自分も少年院に入って反対側の椅子に座っていたかもしれないと感じていた〉
刑務所や少年院などの受刑者・被収容者の中には、精神障害が理由となって法を犯した者もいれば、矯正施設という特殊な状況下で精神障害を発症する者もいる。しかし、受刑者たちの治療の前には、つねに法の「平等主義」が立ちはだかってきた。
親の顔も知らずに育った青年。身寄りもなく、万引きを繰り返して刑務所と外の世界を行き来する老人。重度の精神障害のため会話もままならず、裁判すらできずに拘置所に収容されつづける男性――。著者は精神科医として、矯正施設でありとあらゆる人生を見てきた。
高い塀の向こうで、心の病いを抱えた人はどう暮らし、その人たちを日夜支える人々は何を思うのか。私たちが暮らす社会から隔絶された、もうひとつの医療現場を描くエッセイ。