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[BOOKデータベースより]
二〇一九年一月十八日、山口恵以子さんは最愛の母を自宅で看取った(享年九十一)。いくつもの後悔と色褪せない幸せな思い出。いつでも二人三脚で生きてきた独身の娘と老い衰えていく母の軌跡を綴るメモワール。
第1章 母を送れば(ママ、ありがとう;母は、老い衰えても母だった ほか)
第2章 変わりゆく母と暮らして(父が亡くなり母はおかしくなった;期待と不安はシーソーのごとく ほか)
第3章 介護と悔悟の日々(介護認定申請で地獄から天国へ;喜びも悲しみもデイサービス ほか)
第4章 あとどれくらいの命(二〇一八年九月四日、母が下血した;母が救急搬送された長い一日 ほか)
最終章 母を家で看取りました(母が家に帰ってきた;母に残された最後の快楽 ほか)
母と過ごした最期の日々を綴ったメモワール
『食堂のおばちゃん』や『婚活食堂』などのベストセラーシリーズのほか、テレビやラジオの出演も多い元「食堂のおばちゃん」松本清張賞作家、山口恵以子さんが最愛の母と過ごした最期の日々をあたたかな筆致で克明に綴ったエッセイ集です。
山口さんは2019年1月18日、母・絢子さんを自宅で看取りました(享年91)。本書は絢子さんの病状を克明に綴ったドキュメントであり、絢子さんに認知症の症状が出始めてからの18年間を振り返るメモワールでもあります。
山口さんは母への思いをこう綴ります。
<私と母は六十年も同じ屋根の下で暮らし、二人三脚でやってきた。住む場所があの世とこの世に分かれたとしても、私と母の二人三脚はこれからも続いていく。そう思えてならない>
変わりゆく母の様子に混乱する山口さんはどのように現実を受け容れたのか。その中でも変わらない母娘の穏やかな日常や最初で最後の京都旅行。迫り来る介護の日々と余命宣告――
いつか直面するかもしれない親の介護や大切な人との別れ、さらに葬儀や墓のことまで。本書を読めば、目の前にいる人との時間を改めて大切に思い、突然来る”その時”を受け止められるはずです。
【編集担当からのおすすめ情報】
山口さんがこの本の執筆を始めたのは母・絢子さんが亡くなった翌日のこと。絢子さんの最期、そして葬儀やお墓をどうするかといったことまで、ライブ感覚で臨場感たっぷりに綴っています。その後、思い出を振り返る形で綴られた絢子さんとの最期の日々は、当時の日記が元になっています。ですので、折々に湧き上がった怒りや絶望、混乱、そして事件が、当時の生々しい思いとともに綴られ、類書のない本になっています。
<母には最期まで私がいた。それは本当に僥倖だと思っている。でも、私には誰もいない。寂しい気持ちはあるが、後悔はしていない。これは誰でもない、私自身が選び取った道なのだ>
これは本書にある一節です。本書は、山口さんが母と過ごした日々を綴った本ですが、独身の山口さんが精一杯の気持ちで母を送り、ひとりで生きる未来に向かう本でもあります。昨今、生涯未婚率が急増し、実家で親と暮らす人や、単身で老後を過ごす方も増えています。「母が亡くなった今もまだ一緒にいる気がする」と山口さんが綴るこの本は、そうしたひとりで生きるかたに希望を指し示す本になっていると思います。
また、私が本書を編んでいる間、何度も思ったのは、なんて素敵な母娘関係なんだろうということでした。母が子を思い、子が母を思う心あたたまるエピソードがたくさん載っています。こんなふうに親を送ってあげたいと思いましたし、こんなふうに送られたいとも思いました。
たくさんの方に手に取ってもらいたいと心から思う1冊です。
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