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[BOOKデータベースより]
言語の本質を対義的概念とみなして、その構造が出来事の矛盾の構造と相応関係にあることを洞察する。バークのレトリック観に魅せられた筆者。フーコー読みをへて、やがて“文字/声”の区分を思考の補助線として位置づけ、伝達媒体の相異が「近代的知/ルネサンスの知」という分節とパラレルな関係にあることを主題化する。
第1部 不調和の調和(ケネス・バーク研究(1)提喩概念の射程;ケネス・バーク研究(2)言語の弁証法的構造と主体概念の形成)
[日販商品データベースより]第2部 思考モードとしてのレトリックの可能性(レトリック批評におけるメトニミーの可能性;機械化された思考に対置される口承的世界の可能性;“哲学/レトリック”の反転の可能性)
第3部 オラル世界を知るための「装置」―序奏(解釈の連鎖による知の在りかた―『言葉と物』を読む;オラル世界における思考様式―文字世界と対比して)
レトリック(修辞学)研究においては、
言語の本質を、対義的概念とみなし、
その構造が出来事の矛盾の構造と
相応関係にあることを洞察しようとしている。
ケネス・バーク研究から始まり、伝達媒体の相異と、
表現のしかたや発想様式のちがいとの連関性に、
研究の焦点は移っているが、
本書でも、〈文字/声〉の対比において、
それぞれのモード(表現形式や思考様式)の特性を
浮びあがらせることに専心する。
そして、これを契機に、目的物の探究のための資源が
ジャンル横断的にひそんでいることに気がつくことになる。
〈文字/声〉の分節によって、さまざまな分野の問題
――文学批評、思想史、科学哲学等――を切りとることが
できるのではないか。
伝達媒体のちがい――〈文字/声〉あるいは、
それに対応する身体感覚のちがい(視覚/聴覚)――が、
各時代の表現形式やそれにともなう思考の様式と
なんらかの関係があるのではないか、という直観。
それは、時間的スケールをひろげ、
ルネサンス期までの自然哲学と、
いわゆる近代科学のそれぞれの「知」の在りかたそのものを、
考えることを促すのである。
本書は、フーコー再読から、やがて
〈文字/声〉の区分が、
「近代的知/ルネサンスの知」という分節と、
パラレルな関係にあることが主題となっていき、
とりわけ、研究方法としては、本書構成上、
異なる対立軸の中間に、ジャンルをまたぐ論考を配置することで、
主題を複合的重層的に考察していくことを試みて行くものと
なっている。