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[BOOKデータベースより]
第1章 蒼穹
[日販商品データベースより]第2章 生きるにきまっちょる!
第3章 ウフフフ悪い姑だよ
第4章 鳥の貌
第5章 不採用通知
第6章 雪富士
第7章 スニーカーは空の色
跋 人の魂の極限を(草壁焔太)
「そ・ら」と
大空に向って言う
「ら」の音が
バイブレーションになって
みるみる青に吸い込まれる
この本の表題となったこの歌を見たとき、私は雷に打たれたように驚いた。うたは呼吸だと言っている私の論をうたとして表してくれた言葉が出てきたと感じたからである。
よいうたは、息づかいのある言葉で成っている。そして二度と同じ言葉が人から出てこないような象を取って現れる。「そ・ら」は、私たちのもつ共通のことばであるのに、松山佐代子といううたびとだけが発し得たことばであろう。
また、このうたびとの見上げる青は、「ら・ら・ら・ら・・・」で満ちている。それは哀しみの深さであるような気がする。と同時に、「そ・ら」という言葉が生まれた心の由諸を教えてくれるうたともなっている。「ら」はやまと言葉では、空、原、たいら、洞のように広い空間を表わす音である。
それは広さを求める心の音で、空を見上げる心に大昔からバイブレーションしていた音だったのだと。
と、同時に、五行歌というこの新しい独自のうたの呼吸を、「ら」の音でつづったものであるとも…。日本語にはこんな歌があると、世界の人に言おうとするとき、私たちはどれほど誇らしいかしれない。(中略)
自分で生きることを決心した女性が、その後のノラを生きながら、悪戦苦闘するなかでの歌である。一人で生きることによって、強くなったようだ。相当の苦難もユーモアにしてしまううたびととなった。
原点の少女を色濃く残しながら、嫉妬も拗ねも疲れもユーモアにして乗り越える。私がこのうたびとを認めるのは、上下左右への深みと幅の大きさである。
私自身が尊敬を覚えるほど、なんでも歌にできる人となった。
(五行歌の会主宰 草壁焔太跋より)