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[BOOKデータベースより]
20世紀初頭、産業組合の「医療利用組合」が農民や貧困者への自主的救済事業として創設。旧国民健康保険法は国際的視点から制定されたが、産業組合がその普及の後押しをした。この本は、大戦中の国民皆保険国策、下からの組合病院づくり、広域国保10割給付、経済政策としての新国民健康保険法、国保直診の地域保健活動などの綾なす途をえがく。ベヴァリッジ勧告、日本占領軍のワンデル報告、社保審大内兵衛勧告など、膨大な資料文献を新しく読み解いた歴史分析書。
はじめに
国保以前の医療利用組合による病院づくり
新渡戸稲造と賀川豊彦の思想と行動
国民健康保険法事始め
国保法はなぜつくられたか
大山鳴動に終わった戦時下医療制度改革
農村医療のパイオニア
結核の蔓延、保健婦が国保を支えた
戦時中の社会政策と保険医療の日英比較
戦時日本の皆保険、英国の国民保健事業〔ほか〕
日本の医療保険制度は第二次大戦前夜、総力戦体制に向け国家主導で成立したという通説に対し、本書は20世紀初頭、農山漁村や都市貧困者の救済として各地に生まれた「無産者診療」にその源泉を見る。この互助組織が後の国保普及の素地となり、健兵確保のための医療保険拡充等と相まって皆保険制度に結実したことを膨大な資料から描き出す。
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大正期、労働力保全のため制定された健康保険法から新国民健康保険法制定をへて、現在に至る百年間の歴史を運動史の視点から辿る。