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[BOOKデータベースより]
「何の役に立つのか」と問われるたびに、文学は、いつでもささやかな弁明をくりかえしてきた。時間と空間を超えた「共通の感覚」をもたらし、個と普遍とを結びつける文学こそ、この危機の時代において真に希求される営みではないだろうか。長年にわたって日本とフランスを往還しつつ思索を深めてきた碩学が贈る希望に満ちた文学論。
第1篇 文学のために―現代フランスに見られる「文学」再考の動き(理論の見地から;教育と研究の現場;創作家の立場)
[日販商品データベースより]第2篇 重層をなす「読み」の楽しみ―フランスで読む日本文学(アンドレ・ジッドと永井荷風―文学上の「影響」の内実;ウイリアム・ブレイクと大江健三郎の「美しい月」―創作の源泉としての読書;重層をなす「読み」の楽しみ―バルト・小林秀雄・本居宣長・紫式部を通じて「作者」を追う;葛西善蔵における「わたくし」と「おおやけ」―「現実」を読む「私小説」作家;小林秀雄と自然科学―自然を読む科学者と詩人;グローバリゼーションに対する森有正の観点―個に徹する読みから表現の普遍性へ)
第3篇 文学は言語の壁を超えられるか―共通の基盤のために(フランス語のl’oeuvreと日本語の「作品」のあいだで;フランス語に「拷問される?」日本文学;フランス語圏における『源氏物語』の受容―「日本のプルースト」から「フランスの紫式部」へ;フランス語圏における日本近代文学研究の現状―「読む歓び」と「原点礼賛」;知と血と言葉と―「母語」をめぐる小林秀雄と森有正の選択)
人々に時間と空間を超えた「共通の感覚」をもたらし、個と普遍とを結びつける文学は、この危機の時代にこそ真に希求される営みである。日本とフランスを往還しつつ、思索を深めてきた著者が贈る渾身の文学論。