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[BOOKデータベースより]
著者がハンセン病に感染したのは、戦禍の中、家族とともに逃避行を続けた、デイゴの花咲く沖縄であった。九歳頃に発病し、次第に自覚してゆく苦痛を、毎日の高価な投薬で堪えていた。中学校の定期検診を機に、療養所生活が始まる。校庭の片隅で焼き払われた自分の机と椅子、家族との離別、親戚縁者に累が及ばないようにと与えられた“関口進”という新しい名前―。これからの自分を考え、底知れない不安感に襲われる日々の始まりだった。だが、道は少しずつ切り拓かれていった。中学までしか学べない沖縄の療養所を出て、高校のある本土へ行く夢。そして、東京での自活生活。ゆくさきは峻厳な道ばかりであり、何度もひるんでは後退したが、固い意志をもって貫き通すのだった。ただ口を閉じ、身を潜め、時間の経過に身を委ねているだけでは、社会的弱者はいつまでも生きられない。この許せない壁に、かならず風穴を開けてやる!これは、信念をもって差別や偏見と闘い、過酷な病気の障壁と無慙な運命を打ち破ったハンセン病回復者の、自らの半生を綴った感動の記録である。私たちの隣人として、共に過去を克服し、共に今を生きることへの人間の絆の尊さと愛の人間讃歌が、ここにある。第十八回沖縄タイムス出版文化賞受賞。
一列縦隊
屋我地島
紅樹
ニングヮチカジマーイ
姶良野
瀬戸内海
烙印
人間の虹
砂の家
地下茎
かぎやで風