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[BOOKデータベースより]
労働者に対して多様な就業機会を提供し、その能力・意欲に的確に報いることは、公正で活力ある社会にとって重要である。しかし、現在の雇用法制では、解雇や雇い止め問題などで、法や判例が雇用契約の継続を企業に強制させることが常態化している。弱い立場にある労働者を「保護」するためにこれらの法や判例が必要であるというのが「通念」として流布しているが、本当だろうか。本書は、このような問いかけに答えて、格差社会問題と雇用法制との関わりを中心に、「法と経済学」によって、通念の裏にある真実を多角的に抉り出そうとした試みである。
序章 効率化原則と既得権保護原則―2つの政策評価基準の比較
[日販商品データベースより]第1章 解雇規制が助長する格差社会―労働者保護のパラドックス
第2章 不完備契約理論に基づく解雇規制法理正当化の問題点―政策判断には理論と現実との適正な解釈が必要である
第3章 労働紛争の解決手続きへの一視点―最終提案択一型手続きの導入可能性をめぐって
第4章 解雇規制がもたらす社会の歪み―借家法における解約制限との比較を踏まえて
第5章 労働市場における不確実性と情報の非対称性―解雇規制のメリット・デメリット
第6章 公務員の身分保障に関する控え目な疑問―身分保障を正当化しうる根拠はあるのか
第7章 解雇規制は雇用機会を減らし格差を拡大させる―所得格差解消の手立てを考えるために
第8章 解雇判例・就業規則不利益変更判例の実態等と労働契約法のあり方―非正規雇用の増加への対応も視野に入れて
第9章 「労働契約法」と労働時間法制の規制改革―働き方の多様化に対応した法制度の見直しが必要
解雇を規制する法律が、雇用市場や社会に対してどのような影響を与えているのか。どのような雇用法制が不平等を是正できるのか。通念の裏にある真実を、多角的に抉り出そうとした試み。