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[BOOKデータベースより]
日本、アメリカ、中国等で大ヒットした『海辺のカフカ』。カフカ少年とナカタさんのパラレルな物語に“癒し”や“救い”を感じた人も少なくなかった。けれども、本当にそういった内容なのだろうか?丁寧なテクスト分析によって、隠された構造が浮かび上がる。暴力が前面に現れつつある「九・一一」後の世界に、記憶と言葉の大切さを訴える、渾身の村上春樹論。
第1章 『海辺のカフカ』とオイディプス神話(オイディプス神話という主題;『オイディプス王』の物語 ほか)
[日販商品データベースより]第2章 甲村図書館と書物の迷宮(図書館という母性的空間;なぜ『千夜一夜物語』を最初に読むのか ほか)
第3章 カフカ少年はなぜ夏目漱石を読むのか―甲村図書館と書物の迷宮2(カフカ少年は『坑夫』と『虞美人草』を読む;「近代教養小説」という視点 ほか)
第4章 ナカタさんと戦争の記憶(ナカタさんの出自;記憶の欠落と識字能力の喪失 ほか)
第5章 『海辺のカフカ』と戦後日本社会(カーネル・サンダーズが語る「天皇の人間宣言」の虚偽;「生き霊」と『菊花の約』の意味するもの ほか)
日本と海外で大ヒットした「海辺のカフカ」に“癒し”や“救い”を感じた読者も多い。しかし、本当にそういう内容なのだろうか。同書を精読し、村上文学の本質を初めて明確にした問題作。