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[BOOKデータベースより]
本書では、path上の確率測度あるいは確率連鎖の紹介から始めて、その題材の中でくりこみ群を初等的に説明することを主目的としている。
「ぎざぎざ」からくりこみ群へ
[日販商品データベースより]第1部 Path空間上の確率測度(Z上の有限長のpathの確率論;Z上の単純ランダムウォーク;Zn上の単純ランダムウォーク ほか)
第2部 くりこみ群によるpath空間上の確率測度の解析(Z上のpathくりこみ群;Sierpi´nski gasket上のself‐avoiding path;Pre‐d次元gasket上のランダムウォークと等方性の回復 ほか)
補遺(指数型のタウバー型定理;母関数の再帰式で定義された非負実数上の確率測度の弱収束;くりこみ群が定める確率測度の列と確率連鎖との対応(定理5.11の証明) ほか)
くりこみ群とは、精度のスケール変換に対する元の系の応答を適当なパラメータ空間上で記述した力学系であって、その固定点近傍の振る舞いが系の漸近的性質を定めるものを言う。理論物理学では無限自由度系の数学的構造をとらえるときの一つの鍵になる概念であるが、その数学的研究は入り口に近い段階にある。
本書では、くりこみ群の本質を損なわない範囲でもっとも簡単な対象と考えられる、path上の確率測度(確率連鎖)を題材とすることで、専門的な背景をできるだけ用いずに、かつ数学的正確さを損なわずにくりこみ群を説明している。
ランダムウォークとself-avoiding pathの数学の入門的解説を最初に置き、やや専門的と思われる証明などは補遺にまわすなど、初学者を意識した構成となっている。一方、基礎事項から本書の題材までを一冊で学べるように詳しい補遺を用意したので、専門的に研究したい場合にも参考になる。特に、指数型のタウバー型定理の紹介や統計力学との関係の解説は他の教科書では得がたい知識であろう。