本書において対象とした訳書は,あらかじめ誤訳の多出が予想される類のものではなく,文学作品など練達の訳者の筆になる,概して賛嘆の気持ちをもって接しうる,すぐれた訳業がほとんどである. それでもやはり,それらは例外なく,幾つかの啓発的な誤訳を提供してくれる. それらの多くは,別に訳者の力量不足に由来するといった性質のものではなく,中には勘違いや slip of the pen に類するものもあるが,さすがは専門家,その誤訳は,受験生でも先生でも翻訳を志す人でも いやベテランの翻訳家でも,“なるほど”と感じるような,非常に参考になるものが少なくない.
[BOOKデータベースより]
英語を教える人、英文翻訳者の必読書。誤訳を通して、実践的に正しい英文の読み方を学ぶ。
1(誤訳の罪;誤りは翻訳の常;疑似誤訳と正真誤訳;誤訳と悪訳;翻訳と英文和訳)
[日販商品データベースより]2(名詞;前置詞;動詞;助動詞;冠詞 ほか)
著者「はしがき」より
本書において対象とした訳書は,あらかじめ誤訳の多出が予想される類のものではなく,文学作品など練達の訳者の筆になる,概して賛嘆の気持ちをもって接しうる,すぐれた訳業がほとんどである.
それでもやはり,それらは例外なく,幾つかの啓発的な誤訳を提供してくれる.
それらの多くは,別に訳者の力量不足に由来するといった性質のものではなく,中には勘違いや slip of the pen に類するものもあるが,さすがは専門家,その誤訳は,受験生でも先生でも翻訳を志す人でも いやベテランの翻訳家でも,“なるほど”と感じるような,非常に参考になるものが少なくない.
この本には,そのような誤訳の中から,特に啓発性と活用性の高いものを選んで収めたが,本書は,誤訳をあげつらう本ではなく,誤訳から学ぶ本であり,誤訳を防ぐための本である.
だから,体系とか構造とかいえばやや大げさになるが,それなりに分類して系統だて,誤訳を例示するだけでなく,適宜,関連事項を解説し,文法的説明を加え,類例を示すなどした.
英文解釈と翻訳の両方に共通する,誤りやすい点がよくわかるはずである.