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[BOOKデータベースより]
本書の「近世の古典」篇では、近世期の古典注釈を、絶対化された古典の読解の道具として見るのではなく、実作とのかかわりにおいて読む。つまり、注釈を読むことを試みた。「考証の季節」篇では、考証随筆『広益俗説弁』の著者井沢蟠龍とその周辺をめぐる諸問題を論じた。「国学者の誕生」篇では、寛政五、六年前後の長瀬真幸を追跡する。この時期は、真幸の国学者としての形成期である。宣長入門以前すなわち国学者以前の真幸の学問について考察することにより、国学という学問が内包している特質を、とくに史的観点からうかがおうと試みた。さらに、宣長入門前後の伝記的事実を明らかにすることによって、一国学者の成長を跡付け、それをとりまく当時の学界の一側面に言及した。そして、最後の「地方学芸史への視座」篇には、江戸時代の地方文化の問題点を指摘した論稿、および中央と地方の文化交流にふれたものを配した。
近世の古典(学者の古典 歌人の古典;近世古代語と契沖著作;「ひむがし」考)
考証の季節(井沢蟠龍著述覚書;考証の季節;古代研究の余滴)
国学者の誕生(鈴屋入門以前の長瀬真幸;『本居問答』の成立;覚書長瀬真幸伝 ほか)
地方学芸史への視座(水足屏山・博泉と肥後学芸史;幕末歌人三題;中島広足と本居内遠 ほか)