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[BOOKデータベースより]
若い世代にとって、ケストナーは、もはや社会ロマン派の作家であり、児童文学作家にすぎなかった。彼らには、なぜケストナーがナチスに禁じられたのか、わからなかった。ケストナーの全体像は、学校でも家庭でも、教えられることはなかったのだ。今日のケストナーといえば、児童文学作家としてしか確立された地位を得ていない。だが、それだけでは、今世紀最大の時事評論家として活躍してきたケストナーに対する、十分な評価とはいえないだろう。激動の時代を生きのびて、人々に自由と平和の意味を訴え続けた、作家の生き方。ドイツ児童文学賞受賞。
ドレスデンに生まれて
子ども時代
大砲の花咲く国
ひとりぼっちの幸運児
天使のいたずら
ベルリン
小さな執筆工房
『エミールと探偵たち』の誕生
燃えている
冬眠〔ほか〕
今まで、「ケストナー=ドイツの児童文学作家」 としか思っていませんでしたが、この本を読み、ケストナーは、演劇作家、詩人、脚本家、小説家、エッセイストなど、実は、多くの顔を持つ人だったと知りました。
出生の秘密、マザコンともいえる母との関係、家庭環境、女性関係など、一人の人間としてのケストナーも描かれていて 興味深かったです。中に挟まれている子どもの頃からの何枚もの写真からは、内にたくさんのものを秘めている人という印象を受けました。
ナチス政権を批判し、そのことから身の危険を感じつつも、「時代の目撃者」でありつづけるために亡命しなかったケストナー。強い意志を感じます。そして、彼がドイツで生き延びることができたのは、運が良かったこともありますが、本物の実力者であったからではないかな?と思いました。なにしろナチスが、自らに刃向かうケストナーの実力を無視できずに、外国での出版を認め、外貨獲得のために利用しようとしたのですから。
子どもの頃、ただ楽しく読んでいた「エミールと探偵たち」や「飛ぶ教室」ですが、ケストナーの人生を知った上で、今 読むと、また違ったものが見えてくるのかな?と再読したい気持ちになりました。(なみ@えほんさん 50代・大阪府 )
【情報提供・絵本ナビ】