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[BOOKデータベースより]
四国は詩国であり、いやしの風光に満ちた仏の国である。四国の自然には、都市生活から見失われてしまった暮らしの情景を想いおこさせる奥深いあたたかさがある。著者が本書でその捨身の人生を紹介した堂守の手束妙絹は、歩き遍路をすればどんな悩みもふっきれるという。道中で目にし膚で感じる山川草木に仏のすがたを見、生かされていまあることの仕合せに涙するようになるのだという。四国には疲れたこころを再生させる風光と訪れる人々をやさしくうけいれる風土がある。四国のこのような魅力は、古来からたくさんの人々をこの地に招いてきた。本書におさめられた六人の人物評伝も、四国の大将とよばれた坪内寿夫をのぞいて、みんな人生の途上で海をわたり四国松山へやってきた人たちの話である。それも坪内はともかく、ほかの人たちは世間的にあまり知られてはいない草莽のいわば旅人だった。その代表格の種田山頭火にしろ今日でこそ人口に膾炙するようになったが、句友の大山澄太の山頭火顕彰の努力がなかったならこれほどまで有名になることはなかったであろう。かれらは四国でそれぞれの人生に意味を見いだし、人情のぬくもりがのこるこの地で人間の価値を高め、かれらにしかできない仕事をなしている。
山頭火コロリ往生の真相―俳僧をめぐる俳人たちの確執
お四国遍路みちの女良寛―歩き遍路の果てに堂守となった尼僧の捨身
一遍を蘇らせた現代の一遍―捨聖を訪ね歩いた男の生涯
裸になった再建王・坪内寿夫の本懐―怪物と呼ばれた男の責任の取り方
ロシア人俘虜へ一生を捧げた日本人―捕虜をとおして国家を問い続けた文士
資本が文化をこわす―明治生まれの学者の警世